THE DARK KNIGHT (2008公開)

【監督】
クリストファー・ノーラン
【出演】
クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン
【物語】
ゴッサムシティの大富豪ブルース(クリスチャン)は、今もなお犯罪者の粛正を“バットマン”という闇の姿(=ダークナイト)を借りて行っていた。
バットマンは、ゴードン警部補(ゲイリー)と連絡を取り合い、マフィアの資金を絶つ作戦にも協力し、ゴッサムの浄化を目指すのだった。
この頃、ゴッサムに現れたのはジョーカー(ヒース)を名乗る男。銀行強盗をしたあげく、仲間を皆殺しするという狂気に満ちた男だ。
マフィアの会合に顔を出したジョーカーは、「俺がバットマンを殺してやろう」と持ちかける。報酬は、マフィアの総資産の半分だ。マフィアは、とにかくやらせてみて後は何とでも…という気持ちで、その提案を受けた。
一方ブルースは、元恋人レイチェル(マギー)を通して、地方検事のハービー(アーロン)と知り合った。法律を遵守しつつ、より効果のある罪状をかぶせることでマフィアの潰滅を図ろうとするハービーに、ブルースは「彼のようなホワイトナイトこそが、真にゴッサムに平和をもたらすのではないか」と自分を省みるのであった。
正しき者の手にゆだね、自分は消えようと考え始めたバットマンに、ジョーカーより予告が届いた。
「バットマンよ、正体を明かさねば、毎日市民を殺すぞ」
そして、市警本部長は毒殺、市長を守ってゴードンも銃弾に倒れてしまった…
【かえる先生のコメント】
ヒーロー物の概念を大きく打ち破った衝撃の作品です。重厚な、深い物語です。
バットマンは苦悩します。スーパーマンのように「恋に生きたい」、アイアンマンのように「俺の体はもつのか」、スパイダーマンのように「学業も仕事も恋人もうまくやりたい」ではありません。
自分が何とかしたいこの犯罪にまみれた街を真に救うには、自分のような陰で悪を倒す男でなく、法廷で悪に求刑できる男ではないかという苦悩です。
ここに本タイトル「ダークナイト」が大きく意味を持つのです。ヒーロー物なのにヒーロー名を冠しない作品であるべき理由が分かります。
だからこそ、ジョーカーの仕掛けた“恋人とハービー検事の二者択一”は、手に汗だけでなく心にまで汗を握らせるほどの緊迫感を感じさせました。
それから、ヒーロー物なのでバットマンやジョーカーなど見た目のキャラはありますが、これが普通の人間ドラマに見えるんですね。そもそも生身の人間のためスーパーパワーもないですし。このジャンルが上級なヒューマンドラマにもなりえることを教えてくれた作品でもありました。
「SFなんて。ヒーロー物なんて、子どもっぽいし、嘘っぽいし、単純だから見ない」と言う友人に、こんな凄い作品もあるんだぞって言いたいです。
ジョーカー演じるヒースの鬼気迫る演技はもちろん評判ですが、脚本・監督にも敬意を払います。
★★★★★
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