イニシェリン島の精霊

The Banshees of INISHERIN 2023公開

【監督】
 マーティン・マクドナー
【出演】
 コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン

【物語】
 アイルランド領のイニシェリン島。田舎の小島の住民は少ない。

 パードリック(コリン)は、日課となっているパブ通いに、年配の親友コルム(ブレンダン)を誘う。ノックをするが、いつものように出てこない。窓から覗くと、コルムの姿はあった。こちらを見ようともせず、煙草を吸っている。

「先に行ってるよ」と声を掛け、パードリックはパブに向かった。

 マスターに、コルムの様子がおかしいと話すと、「何か怒らせるようなことをしたんじゃないか?」と言われた。全く覚えはないが、気まずいままではと、パードリックはコルムに話をしに行った。「覚えてないんだが、何かしたなら謝るよ」と。

 しかし、コルムは「何でもない。ただ、もうお前とは話さない。俺に話し掛けないでくれ」と冷たい。パードリックは当惑し、「訳を言ってくれ」と迫る。すると、「ただお前と喋る時間が無駄だと思ったからだ。お前のつまらない話に付き合って、人生を無駄に削りたくない」そうだ。

 打ちひしがれたパードリックは、家に帰った。いつもより早い帰りに、妹シボーン(ケリー)が訝しむ。コルムに絶縁されたことを聞き、シボーンもあれほど仲が良かったのにと不思議がる。兄を思って、翌日コルムに話をしにいくが、相手は聞く耳もない。

 その頃、パードリックは、パブで一人沈んだ気持ちで飲んでいた。マスターや他の客たちは、2人の仲違いを好奇心半分、同情半分でいた。そこにコルムがやって来て、パードリックにこう告げた。

「お前とはもう話さないと言ったはずだ。妹まで介入させるな。もしこれからお前が俺に話し掛けたら、俺は自分の指を一本切り落とす。2回話し掛けたら2本だ」と。

 恐るべき宣言に、パブに居合わせた客たちは言葉を失った。果たして2人の間に何があったのか…

【かえる先生のコメント】
 突如、訳もなく、親友に絶交を言い渡された。しかも、今後話し掛けてきたら自分(絶交した側ですよ)の指を切断すると脅して。

 こんな、とんでもなく面白そうな設定の映画。見たくなりますよ。しかもゴールデングローブ作品賞に主演男優賞を獲り、アカデミー賞にもノミネートされてます。

 ストーリーは難しくはありません。ポイントは、なぜ仲違いしたか、最後に和解するか、本当に指を切断するか、ですね。なかなかの緊張感はあるので、サスペンス映画にジャンル分けしましたが、ジャンルに入れるのが難しい作品です。

 主役の絶交された男はコリン・ファレル。この男優は、昔から太いハの字眉毛がダメ男の役にぴったりと、個人的に感じてましたが、めっちゃ情けなさが合ってます。アイルランドの小島で、1920年代の設定。友達と喋るくらいしか娯楽のない世界で絶交はキツいでしょう。何とかよりを戻そうと必死な姿が、見ていてもの悲しいです。

 でも身に覚えがないのに突然冷たくされるってことは、生きていると経験することはありますね。ホントキツいですよね。

 さあ、最後にどうなるかは見る人のお楽しみです。で、私は鑑賞済みの人の解説を求めたいところです(^_^;)

★★★☆☆


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