ラーゲリより愛を込めて

ラーゲリより愛を込めて  2022公開

【監督】
 瀬々敬久
【出演】
 二宮和也、北川景子、松坂桃李、桐谷健太、中島健人、安田顕、市毛良枝
 

【物語】
 1945年。日本では沖縄が陥落し、広島に新型爆弾が投下された。

 満州にいた山本(二宮)は、妻ミモジ(北川)、4人の子供と休息日を過ごしていた。山本は、妻に「私が任務に戻ったら、子供を連れて日本に帰国しなさい」と告げた。山本の目には日本の敗戦が映っていたのだ。

 しかし、ソ連が日本との友好条約を一方的に破棄し、満州に出兵。山本家族は、戦火の中、離ればなれとなった。

 それから、山本は多くの日本兵と共に列車の中にいた。ソ連軍に捕虜として捕まった彼らは収容所(ラーゲリ)へと移送されているのだった。多くの日本兵が絶望している中、一人アメリカの歌を口ずさむ山本は、上官の癇に障っていた。こうして一行はスベルドロフスク収容所に到着した。

 ロシア文学を愛する山本は、ロシア語が堪能だった。そこで強制労働の傍ら、通訳として使われていた。だが、日本兵は収容所でも階級差で人間関係が硬直し、山本は“一等兵”と呼ばれ、上官に目をつけられてしまった。

 厳しい労働環境の中、倒れる者、脱走を図り射殺される者が続出。希望が失われたこの環境で、山本は、倒れる者に肩を貸し、若者に文字を教え、「せっかくなのでロシアを体感しようかと思ってます」と語った。

 彼が信じている希望は、帰国(ダモイ)の日。「その日は必ずやって来る」絶望する仲間を励ます山本であった。

 その頃、ミモジは何とか子供を連れ日本に帰国。夫の残した「必ず戻る。日本で落ち合おう」の言葉を信じ、女手一つで、子供たちを養っていく。

 2人の再会の日は、やって来るであろうか…

【かえる先生のコメント】
 シベリア抑留という、太平洋戦争後、日本が経験した悲劇を描いた作品です。日本にとっては、ソ連にやられた非人道的被害。戦争犯罪と呼ぶべきものです。

 私たちの世代は、「太平洋戦争は日本が悪い」という教育がされ、親からは戦時中の話を散々聞かされました。ニュースでは小野田さんなどの日本兵発見、中国残留孤児の来日、そして街では負傷兵が募金箱を持って立っているのをよく見ました。このシベリア抑留も当然よく知っております。ただ、若い子供たちはなじみのないテーマかも知れません。こうした歴史を伝えるのに良い作品だったと思います。

 主役を演じた二宮さん。童顔のため年相応に見えないのに、どこか飄々として、それでいて強い信念をもつ山本さんを素晴らしい演技で見せてくれました。ラーゲリで再会した、かつての上官(安田顕)とのやり取りは、強く心を打たれました。

 また、我が身可愛さで卑怯者にならざるを得ない松坂桃李の「山本さんのように生きるんだ」の一言は、胸に響きます。そして、終幕の一連のシーンは、ハンカチが必要です。

 後は、収容所での日本人同士の摩擦が、見ていて切なかったですね。こういう階級差っていうのが、パワハラや体罰、いじめの根源でもありそうです。

 一言申したいのは、本作に限らず、邦画予告って、話をばらしすぎでしょ?ってことです。大体予告編で大筋が分かってしまいますからね。何とかしてほしいものです。

★★★☆☆

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